釧路市長　蝦名 大也　殿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2010年12月15日
２０１１年度釧路市予算編成に向けての要望書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　日本共産党釧根地区委員会　委員長　澁谷　 肇
　　　　　　　　　　　　　　　　　　日本共産党釧路市議団 　 団 長　石川　明美
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 副団長　梅津　則行
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 幹事長　村上　和繁

＜予算編成にあたって＞
　市は長年の懸案であって土地開発公社と釧路振興公社の問題解決のため、第三セクター等改革推進債の発行を決め、総額１４６億円の新たな借金をすることとなりました。塩漬け土地については、バブル経済の破綻と地価の下落、景気の低迷という外的要因があったことは理解しますが、身の丈を越えた公共用地と企業立地用地の先行取得や、事業化の見通しを失ったあとも、根本的な対策講じることのないまま解決を先送りし、含み損を大きく膨らませてきたことなど、時々の市政執行者の責任は厳しく問われなければなりません。しかし、市長はこうした責任を不問としたまま、そのつけを市民にしわ寄せしようとしています。
　また、３セク債の償還財源の確保と収支不足を補うため、来年度から「財政健全化推進プラン」に取り組むこととしましたが、使用料・手数料の値上げ、公共施設の貸与・譲渡・売却、市民サービスの切り下げとが目白押しです。「住民の福祉の向上」こそ、地方自治体の役割であり、こうした役割を投げ捨てるような市政執行は、財政の厳しさがあっても決してとるべきではありません。

　新年度に向けて、市長は市政運営の基本方針を明らかにし、市民の暮らしと営業を応援する予算編成を行うよう強く要望します。厳しい財政運営が続く中、国・道から交付された税金、市民が納めた税金は、市民が納得する使い方をすべきです。新年度予算要望にあたり、私たちの要望を整理し、２０１１年度の予算要望書を提出します。各部・各課での議論をお願いし、市政に反映するように強く期待します。


＜緊急要望＞
１．石炭産業
�@産炭国高度化事業の継続について、「オール釧路」で取り組みを強めること。
�A前年度同様の予算を確保するために要請活動を強力に推進すること。
�B釧路コールマインは、研修事業の継続を前提に中長期の採炭計画を発表しました。こうしたことも受けて、国に対して国内炭についての政策を抜本的に見直すよう求めること。

２．雇用対策
�@釧路市独自の雇用対策を示し、早急に進めること。
�A緊急雇用創出交付金事業や地域活性化交付金事業など、国の景気雇用対策の更なる充実を強く求め、市としても積極的に事業化すること。
�B失業者を対象とした市独自の公的就労事業に取り組むこと。

３．市民負担軽減
�@住民税の減免の取り組みを積極的に進めること。
�A国保料については、国と道に対して財政支援を強く求め、基金の活用も行って、一世帯一万円を引き下げること。国保法４４条の活用を強力に推進すること。
�B後期高齢者医療の一部負担金の減免(69条)を積極的に推進すること。
�C介護保険料についても、基金を積極的に活用して保険料を引き下げること。利用料の減免制度を拡充すること。
�D市民生活にかかわりの深い使用料・手数料について、極力値上げをしないこと。

４．ＴＰＰと農漁業後継者対策
�@ＴＰＰ交渉参加に対して反対を表明し、反対運動の先頭に立つこと。
�A農漁業に新規就労した場合や、後継者が就労した場合には、融資制度だけでなく、直接助成をする制度をつくり、後継者対策を強化すること。


＜予算要望＞
１．財源問題について
�@策定中の財政健全化計画については、福祉の向上、雇用確保、生活防衛の観点から、抜本的に見直すこと。
�A不要不急の工事については再検討し、凍結すること。
�B業務委託を含め入札・契約にあたっては積算根拠を精査し、人件費割合については正しく実行させることを前提としつつ、入札制度の改善を図ること。
�C公有地を積極的に売却し、財源確保を図ること。
�D金融機関からの借り入れ利息の引き下げに努力し、財源確保を図ること。
�E土地開発公社などについては、それを推進した国にも大きな責任があることから、３セク債の利子については特別交付税で補てんするよう国に強く求めること。

２．仕事確保と雇用対策
�@失業者の実態把握を促進し、相談体制を充実させること。また、失業者の生活支援を強めること。
�A誘致企業に対して正社員化促進を要請すること。
�B公共事業については、住民要望の強い公営住宅の建設と立ち遅れている学校の耐震化を軸に、「生活密着型」に切り替えること。地元雇用につながる道路・橋・公住・学校などの修繕事業に積極的に取り組むこと。
�C市独自の緊急雇用対策の予算を確保すること。
�Dこれまでの委託中心の雇用創出にとどまらず、公的就労事業も含めて、雇用確保のあらゆる方策をつくすこと。
�E季節労働者の冬期間の仕事を確保するため、市独自で除雪ヘルパー制度や通学路の除雪・氷割りなどの予算を確保すること。
�F新卒高校生の就労対策を講じること。釧路市の臨時職員としての採用枠を拡大すること。
�G地域経済活性化を図るため住宅リフォーム制度をつくること。制度創設にあたっては、行政目的を限定せず、広く活用できるものとすること。
�H公契約条例を制定すること。
�I企業誘致の助成は、その営業状態、労働実態をよく調査し、検討・判断すること。
�J介護雇用プログラムについては、介護福祉士の資格取得のコースを含め、充実させて継続実施すること。

３．中小企業対策
�@住宅改修を目的とした「住宅リフォーム条例」を制定し、中小企業への仕事を増やすこと。
�A小規模事業者登録制度の活用を広げていくこと。そのために各課で発注した仕事を一覧にして情報交流をおこなうこと。
�Bコールセンターなど誘致企業への助成は、労働実態を調査した上で判断すること。そのために定期的に必要な報告を求めること。
�C消費税の税率引き上げに反対し、大企業の法人税率を元に戻すように国に要請すること。
�D国にたいして、緊急保証制度と金融円滑化法の継続を強く働きかけること。
�E釧路市として特別の融資制度を創設すること。

４．医療・福祉・介護
（１）国民健康保険に関して
�@国民健康保険料を一世帯一万円引き下げること。
�A資格証明書の発行をやめること。

（２）後期高齢者医療
�@国にたいして、早期に制度を廃止するよう強く求めること。
�A資格証明書の発行を行わないこと。
�B保険料引き下げるために国の負担を増やすよう要請すること。

（３）高齢者福祉・介護保険
�@低所得者の保険料・利用料の軽減制度の充実を図ること。とくに市が実施している社会福祉法人以外の利用料の軽減について、デイケアなどの医療やリハビリにかかわる介護サービスについても対象に加えること。
�A釧路独自の上乗せサービスを継続すること。
�B低所得でも入所できる施設を検討し、整備すること。生活支援ハウスの増設を検討すること。
�C生活保護世帯の配食サービスの本人負担を非課税世帯と同様にすること。
�D緊急に１５０床の特別養護老人ホームを建設する計画を立てること。認知症対応型のグループホーム、小規模多機能施設なども積極的に建設すること。
�E敬老祝金の制度見直しをやめること。
�F高齢者バス利用等助成事業については、バスの定期券だけでなく、回数券も利用できるようにすること。ガソリン券やタクシー券についても利用できるようにすること。
�G介護保険の見直しにあたって、ケアプランの有料化、軽度者の生活支援サービスはずし、特養などの多床室の室料を求めること、被保険者の範囲の４０歳未満への拡大は行わないこと。

（４）障がい者施策、難病施策
�@地域活動支援センター補助金の減額あるいは廃止を止めるように要請すること。
�A新たな負担増とサービス低下を生じさせないように釧路独自の支援策を設けること。
�B社会福祉法人入所施設からの退所者への受け入れ態勢を至急整備すること。
�C郊外ではなく「まちなか」に重度障がい者ディサービスを設置すること。
�D精神障害者の共同作業所とグループホームへの補助など支援を強めること。
�E精神障がい者入院医療費助成制度を存続させること。
�F発達障がい者支援センター設置に向けて、国・道に強く働きかけること。

(５) 医療費助成
�@乳幼児、ひとり親、重度心身障害者など各種の医療費助成制度について、所得制限、対象年齢などの要件を緩和し、給付内容を充実するよう道に働きかけるとともに、市として積極的な上乗せ給付を検討すること。小学生の通院も助成対象に加えること。
�A高齢者の医療費助成制度の創設を国に働きかけること。

５． 子育て支援
�@老朽化した児童館、児童センターの改修・改築を計画的に進めること。
�A児童クラブ、部活などの帰りの時間では、もうすでに回りが暗くなっていることが多いので、冬期間の街灯の間引きを止めること。
�B失業・収入減などによって保育料の支払いが困難な家庭に対して、保育料の減免を積極的に行うこと。また、減免の中身についても、国保料並みに緩和・充実すること。
�C市の中心部に空き店舗を活用して、子育て支援の拠点施設を開設し、「つどいの広場」事業等を行うこと。
�D保育制度の根幹を揺るがす「子ども・子育て新システム」について反対し、撤回を国に求めること。
�E保育料についての市の独自軽減(二人が保育園に通っている場合、第２子の保育料のみ徴収）を継続すること。

６． 学校教育
�@特別支援教育は、児童・生徒の現状から課題を整理し「人的体制」を含め支援策を検討すること。
�A３０人学級の実現を国・道に働きかけると同時に釧路市独自に小学校1・2年生から実施すること。
�B障がい児学級に配置されている嘱託指導員を増やすこと。また、臨時への変更を取りやめ、嘱託に戻すこと。
�C教職員の長時間労働の実態調査をおこない改善を図ること。
�D全国学力テストは実施しないこと。
�E阿寒高校については地域キャンパス校とせず、存続させるよう道に働きかけること。
�F全小中学校の耐震化を早急に完了すること。

７． 平和行政
�@国民保護法による市民を巻き込んだ「避難訓練」は実施しないこと。
�A核兵器廃絶に向けて積極的に行動すること。
�B矢臼別演習場への普天間基地のヘリ訓練移転に反対すること。普天間基地については国外退去するよう国に求めること。
�C防災訓練に、海上自衛隊のエルキャックを参加させないこと。

８． その他
�@文苑地域に児童センターを設置すること。また、児童公園の整備を進めること。
�A愛国東地域の道路補修を引く続き実施すること。特に、グリーティングロードは整備距離を３００メートル以上とすること。
�B愛国中通の整備を進めること。
�C昭和中央土地区画整理組合について、賦課金徴収によらない解決をめざし、市として組合や関係機関への働きかけること。また実質的に破綻していると考えざるをえない他の土地区画整理組合についても、解決策を講じること。
�D阿寒川、舌辛川について、集中豪雨の際に被害のでないように万全の防災・治水対策を講じるよう、北海道にはたらきかけること。
�E東部・南部地域の買い物困難地域について、新たな小売店の出店や買い物バスの運行などを誘導する施策を講じること。
�F市独自に低所得者、高齢者、障がい者などを対象とした地デジ化の支援を行うこと。
�Gぬくもり助成金を継続すること。
�H釧路市フィットネスセンターを存続させること。
�I市内中心部に道営住宅を誘致すること。釧路市公営住宅ストック総合活用計画の見直しに当っては、管理戸数の削減は行わないこと。
�J生活保護世帯に対する下水道使用料の軽減制度を継続すること。
�K阿寒町、阿寒湖畔、音別町のプールの開設期間を短縮しないこと。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以上